奥美が横浜から来て、二人でニュージーランドの税金の申告。計算が多くあり、まだ数日かかりそうだ。
奥美は横浜の実家で食事を作らなければならないとかで4時前には帰っていった。今日はそれなりに頭を使ったので疲れた。
夕方、母江がディサービスから帰ってきて、三郎は風呂に入っていたら、母江の携帯が鳴った。姫子からで、また家に遊びに来ないかとのことだった。
三郎が風呂から上がって
「行きたければ、行ってくれば?」
「じゃあ、行ってくるよ」
「今日のご飯は?」
「いらないよ」
と言ってお泊まりの準備をし始めた。
少しして、母江が姫子に電話をすると、
「準備できたよ」
「今日じゃあないよ」
「明日、太郎がそっちへ行くでしょ?その時に連れてきてもらってよ」
「なんだい、それ。この間みたいに姫夫さんが迎えに来てくれるのかと思ったよ」
太郎も姫子も横浜在住だが、20Km以上離れている。
次に母江は太郎の家に電話をかけていた。
「それで太郎がこっちにくるから、その時に連れてきてもらってくれって言うのよ。そんな話ってある?!てっきり姫夫さんが迎えにきてくれるのかと思った」母江もそれなりに憤っていて、同じ話を3回くらいしていたので、三郎に電話を変わってもらった。
太郎は店の定休日を利用して、毎週のように実家の屋根の修理をしているので、
「まだベランダの木材が来ないし、天気もあまり良くなさそうだから、明日はこっちに来なくてもいいよ」と言っておきたかった。
「なんか、姫夫から電話があって、母江を連れてきて欲しいと言っていた」と言うので、
「そしたら、『バカヤロ!俺はオメエの奴隷じゃねえぞ!』とでも言ってやればよかったのに」
これ以上姫夫妻の家との仲が悪くなることがないので、根が正直者の三郎は常に本音で喋るようにしている。
多分、発達障害者だった死んだ父男も三郎と同じことを言うだろうな、と思った。