遺産相続で揉めた原因の第一は平成30年に作った遺言書だ。両親のどちらかが先に亡くなった場合、子供達4人に遺産を均等に分ける。と書いてあり、配偶者に取り分はなかった。
何度か書いたが、一次相続より二次相続の方が、税金が多くなるとの隣人に言われたのを間に受けて両親は遺言書の書き換えてしまった。そしてそのことを覚えていない母は今になって遺留分を請求した。
長男は父に対して3千万円の借金があった。次男は実家の火事の後始末をして、父の所有のアパートのリフォームと経営立ち直しをして、それなりに親の介護もした。
三男(私)はこのお家騒動をどうにかするため、昨年6月にNZより日本に帰国した。
相続の勉強をして、遺言書があっても、相続人全員の同意があれば、遺言書を破棄して、遺産分割協議をして遺産の分配を替えられることを知り、長男の借金は帳消しにして、父の所有の古アパートは5年分の報酬として、次男に相続させるとの案を持ち出した。
三男(私)は私欲を捨てなければ、この提案をできないことはわかっていた。40年間口を利かなかった次男は私に礼を言った。長男は長男のプライドがそうさせたのか、グズグズしていた。
勉強嫌いの妹は自分の取り分が減ることと、兄妹の中で、蔑ろにされたと思ったのか、長男の借金を含めた等分の相続を得るために次男と私に対して弁護士を立てた。
長男は皆と仲良くとの姿勢を崩さずに妹夫婦とは連絡をとっている。妹が経営しているレストランを任したいとのオファーを受けたとも言っていた。この妹が経営しているレストランがうまくいっていれば、いい話だが、去年オープンしたばかりで全然うまくいっていない。だから父の遺産が必要なのだろうが、父の遺産の大部分は現金ではなく、母が住んでいるこの家の土地なのだ。
だからこそ、遺産分割協議でこの家を母の所有にしてしまえば良いと思った。しかしこのことを含めた全てのことを妹に説明するには時間も妹の頭も足らなったのだ。