去年の11月に私はコロナに罹って、練馬の実家を離れ、安宿で自主隔離をしていた。母親に移しては高齢のため、重症化しては大変だと思い、何も言わずに、消えるようにいなくなった。その時実家には粗暴な性格の次男と次男の末娘が住んでいたが、粗暴な性格の次男は言うまでもなく、粗暴なので、介護などというデリケートなことができるはずもなかった。そしてこの娘、私から見たら姪になるのだが、イギリス人とのハーフであまり日本語が喋れない。去年のクリスマス前まで日本語学校に通うために短期で練馬の家で暮らしていた。しかし粗暴な性格の次男の娘なのでやはり性格に一癖ある。私から見ると自己主張がさっぱりできていないとしか思えない。
そんな二人に母の世話ができるわけもないが、とりあえず私は実家を離れた。そして次男に母にはコロナの抗原検査をしてもらった。結果は陽性だった。その時に思い出したのは、私の具合が悪くなる数日前に母の食欲が無くなり、声も少しかすれ、咳も多少増えていたという事実だ。今となってはわからないが、多分母が先にコロナに罹ったのだろう。どちらかというと私の方が症状が重かったようで、次男の話によれば、母の具合は悪くならなかったようだ。
私から見ると、母はまるで不死身だった。40年くらい前にくも膜下出血で倒れ、10時間の手術にも耐えて完治し、その後の乳癌も治してしまった。コロナは風邪くらいの感覚で治してしまったのかもしれない。