kiyogat’s diary

2023年の1月にブログを始めました。

印刷屋さんと一人歩き

昨日、母江とは40年以上の付き合いがある印刷屋さんから電話があった。

「この間、倒れちゃってね。もう家族じゃあ面倒見切れないから明日から施設に行くことになったよ。誰に言ってないけど、母江さんには言っとこうと思ってね」

「寂しくなるねえ」

今朝、起きると一番にこのことの話題になった。

認知症でもこうゆうことはちゃんと覚えている。

「なんか持って行った方がいいかねえ、お菓子より、お花がいいかねえ」

ファミレスでも何を持って行ったらいいのかと仕切りに気にしていたが、今日何を持って行っても邪魔になるので、1週間くらいして落ち着いたら、老人ホームに持って行った方がいいと母江に教えた。

家を訪ねると、旦那さんが、戸口まで出てきてくれたが、何かに捕まっていないと立ってもいられないようだ。

「子供たちみんな家持っているから、この店もたたんで、移転させることになったよ」
奥さんも亡くなってしまって、息子が商売をしているが、住居の部分は必要がなくなったのだろう。

「商店街がますます寂れちゃうねえ」

母江はいつものチョコレートと干支のうさぎの小さな置物を手渡した。

家に戻ってきてから、母江はNHKを見ていたが、飽きたので自分の部屋へ行った。

三郎も自分の部屋にいたが玄関で音がしたので、見てみると母江がサンダルで出かけようとしていた。

「どこ行くの?」

「ちょっとそこまで」

「サンダルじゃあ転ぶから危ないよ」

「じゃあ、行くのやめた」

近所ならそんなに危なくもないとは思うが、意識がなくなり救急車で何度か運ばれたことがあるので一人歩きはなるべくさせたくはない。

だが自尊心も傷つけないように言うのも難しい。