母江が老人ホームに行ってしまった馴染みの印刷屋さんのお見舞いがしたいと言うのでネットで老人ホームの電話番号を調べた。
電話をかけると家族の承諾が必要だと言うので、確認を取ってから掛け直すとのこと。
電話を待っていると承諾が得られて、面会時間は1時半になった。
お昼は何が良いかと母江に尋ねると、「お餅が食べたい」と珍しく自分の食べたいものを言った。
家に残っている4ヶのサトウの切り餅を焼き、母江は3ヶを焼き餅にして食べ、三郎は母江が前に買ってきたカップきつねうどんと餅1ヶを食べた。
お昼を食べ終わり、バスと電車を乗り継いで、駅前の花屋で切り花よりは長持ちすると思い、ハイビスカスの植木鉢をお見舞いとして持って行った。
面会時間は30分と聞いていたが、話好きの印刷屋さんで1時間近く話していた。足腰はかなり弱くなっていたが、言葉の方は母江よりずっとしっかりとしていた。
持って行った植木鉢は生花は建物内には置けないとのことで玄関先に置いてくれることになった。
1時間も座って話していたのに、電車に乗ると疲れたらしく、石神井公園の喫茶店でアイスコーヒーを飲みながらまた一休みをした。
「あんなとこ入ったら、もうおしまいだよ」とさっきとは全然違うことを話す母江。去年2回ほど1週間の体験入居したが、3日もすると、「家に帰りたい」を連呼して皆を困らせた。