寝ていると、母江がドアを開けて
「大丈夫かい?」と声をかけた。
ふと我に返り
「大丈夫だよ、どうしたの?」
と答えて時計を見ると明け方の4時だった。
「うなされているみたいだったよ」
うなされているような夢は見ていなかったと考えていたが、母江の入れ歯のことを思い出した。昨晩遅くに入れ歯を外させて、ポリデントするのを忘れていたので、母江を起こそうと声をかけたが、爆睡していたので諦めた。
「入れ歯をコップに入れておいてよ」
「入れ歯?」
「そうだよ、また犬に壊されたら大変だよ」
「わかったよ」
そのあとあまりよく寝れず、うすらぼんやりしているうちに6時半になった。
昨日、奥美が来た時にコーヒーを淹れたが、そのコーヒーメーカーの中に入れ歯が入っていた。