父が持っていた銀行口座４行のうちの３行目。
通帳を持っていったら、記帳をしてくれた。妹の名前で４分の１の金額がすでに引き落とされていた。
必要書類の中に父の遺言書の原本と書いてあった。妹はコピーは持っているが、原本は実家にあるのでどうやって手続きをしたのか、気になったので行員の方に尋ねてみた。
「基本的には原本がなければ、手続きはできません」
妹が弁護士に委託したのは間違いないが、弁護士の持っているなんらかの権利を使ったのだろうか？
相続で揉めるという話はよく聞くので、こうゆうことはよくあるのかと思っての質問だったが、そのベテランの行員ですら遺言書の原本抜きでの手続きは経験がないとのことだった。
銀行の相続手続きにしてもこちらでまとめてやって、４分の１を妹に送金するつもりだったのに、それすら拒絶した妹。
いったい、なぜそうなってしまったかわからない。
料理の腕を認められ、よくテレビにも出演するようになり、本も出版した。ベンツやハーレーに乗り、雑誌にも取り上げられて芸能人のようにチヤホヤされすぎたのではないだろうか？
味方になる人間にはいい顔をするが、気に入らない人間には徹底的に刃向かうか拒絶する。まるで亡くなった父親の性格が生き写しだ。
