銀行からの帰り道、向こうから見慣れた老人が歩いてきた。
母江だった。あれほど、ちょっと近くの銀行に行ってくるだけだから家にいるように言っておいたのに性懲りもなく外出した。
しかも遺言書のコピーなどを持って大荷物だ。どこに行くのか訊いたら、区役所とのことだ。
区役所に相談してもなんの解決もしないと何度言ったことか。
すぐにUターンさせないで、大回りして帰った。最後の方は疲れていたが、これくらいで疲れるなら区役所までは行けないし、そんな状態で一人でのバスの乗り降りはとても危険だ。
家に帰ると昔の店のお客さんが尋ねてきたので、洋間に上がってもらって母江とおしゃべりを楽しんだ。