今朝、朝食を食べているときに、
「昨日の昼ごはん美味しかったねえ」と覚えているかどうかと思い尋ねてみた。
「ホントに美味しかった。でも隣のテーブルの人がずっと喋っていたよ」
隣のテーブルにはメタボの30代の男と二十歳くらいの暗そうな女の子が座っていた。男の方がひたすら社会人の先輩目線で女の子に喋っていて、女の子の方はたまに頷くか、小さな声でボソボソと何を言っているのかわからない。
母江は短期記憶がとても悪くなり、言ったこともすぐに忘れてしまうが、昨日のレストランのカップルのことは記憶に残っていて、聞き耳を立てて聞いていた話の内容まで覚えていたので驚いた。
よく考えてみれば、母江が何度か受けた長谷川式の認知症テストは、野菜の名前や物の名前など、母江の興味がないものばかりを尋ねたり、見せて無理やり覚えさせたものだ。興味のないものを覚えられるわけがない。