夕方に母江を風呂に入れるときには、脱衣場でアップルウォッチとメガネを外させ、後は一人に任せて湯船に浸かったタイミングで、汚れたリハビリパンツをゴミ箱に捨てて、着ていた衣服を洗濯機に入れて、洗濯機の蓋をしてその上に新しい着替えをのせ、タンスの一番上の引き出しを開けて、替えのリハパンを見える様にしておく。
その風呂の時間にもよるが、たいてい炊飯器のスイッチを入れて、夕食の買い物に出かけるのが三郎の日課になっている。
普通は買い物から帰ってくると母江は風呂から上がって食堂のテレビでも観ている。だが今日はまだ風呂に入っていた。
「今日は少しゆっくりして入っているな」と思い声をかけようかと思ったが、隙間を見ると脱衣場にいた。
それにしてもなかなか出てこないので、「大丈夫？」と声をかけると、
「パンツがないんだよ」と言うのでドアを開けるとモモヒキを膝まであげているが、リハパンは履いていない格好だった。洗濯機の上に尿取りパッドが置いてあった。
タンスの引き出しには手前にリハパン、奥にパッドがしまってあるが、パッドとリハパンの区別がつかなくなって混乱したのだと思う。
「ほら、ここにパンツあるよ」と言って食堂の椅子に座らせて、モモヒキを脱がしてリハパンを履かせ、モモヒキを着せた。
少しづつできないことが増えてきている。
