大したことではないが、今朝のファミレスで母江が目玉焼きの小さなピースを床に落とした。
いつも床に落としたものはテーブルが汚れるからテーブルの上に置くべきではないと教えているが、気になるようで今日も拾った。そしてそれをスープ皿の上に乗せた。大きさにして2cm四方よりは小さなピースだ。
三郎はドリンクバーで飲み物を取りに行くために何回か席をたった。
二人とも食べ終わったので会計に行こうとしたが、ちょっと気になったので、スープ皿に置いた目玉焼きのピースを探したが、どこにもなかった。きっと食べてしまったのだろう。
「さっき下の落としたもの、どうした?」
「知らないよ」といつもの答えが返ってきた。
夕食の支度をしていると、ベルが鳴った。店の常連さんのような女の人がいた。
「このお店でお直しやっていますか?」
「いえ、もうやっていません」
「お母さん、お元気ですか?」
「はい、身体は元気なんですけど、、呼んできましょうか?」
「いえ、結構です」と言って帰っていった。
少し前まで「直しものを預かっても、無くしてしまうから」という理由で断っていたが、最近は直しそのものができなくなってきている。母江の服を直させようとしたが、うまくできていないことが増えた。毛糸の編み物も中途半端なものばかりが部屋に転がっている。
どこまでその自覚があるのかまではわからない。