午後になり横浜から太郎がやってきた。
3ヶ月ほど次郎がイギリスに行っていたのでそれ以来で男兄弟3人が集った。
話すことはたくさんあったが、まずはベトナム人が太郎の店舗兼自宅の買い手として名乗りを挙げたことだ。
不動産屋と共に現れ、「即金で払うがどうか?」と訊いたらしい。
しかし太郎の売値と開きがあったので、断ったとのことだ。
それでも具体的に金額を提示してきたのはいいサインだ。
そして今日、不動産屋から金額を上乗せして電話があった。相手は焦っているみたいなので、さらにいいサインだ。
太郎も最初の売値で売ろうとは思っていないが、一気に値を下げ過ぎると足元を見られる。
ベトナムや多くのアジアの国で物を買う時には日本と違い値段がついていない。売り手が買い手を見て値を決める。
買い手が金持ちそうなら高い値段をふっかける。
買い手がその物の相場を知らなければ、買ってしまうこともあるが、
「それじゃあ高すぎる」と言えばすぐに値段が下がることが多い。
そして値段の折り合いをつけていく。面倒くさいと言えば面倒だが、ゲームと割り切れば面白い。
この話が太郎の参考になったかどうかはわからないが、話がうまくまとまることを祈る。