いつもの時間(6:30am)に起きたら犬がなんかガリガリしていた。
この犬は性格が粗暴なため皆から嫌われている次郎の犬だが、現在イギリスに行ってしまったため、三郎が面倒を見ている。犬は次郎には似ずに粗暴ではないが、次郎はなんの躾もせずに育てたので、家の中で好き勝手に暮らしている。シェパードとシバの雑種ということで、中型犬だ。
ガリガリやっていたものは母江の入れ歯だった。母江のベッドでいっしょに寝ていて、部屋から持ってきたのだろう。
「アンタ、何やってんの！」と大きな声で怒鳴ったら、申し訳なさそうな顔になって入れ歯を離した。この犬は音に敏感で臆病者だ。
すでに歯が２つほど取れてしまっていた。母江とラジオ体操をしている間、ポリデントで洗って、ファミレスに行く前に入れ歯をはめてみた。なくなったのは前歯だった。入れ歯なのに歯っかけババアになってしまった。
ファミレスから帰ってくると、お向かいさんと会ったので、挨拶をして、今朝の入れ歯の話をした。
「次郎さんも前にお父さんの入れ歯を犬に噛まれて、ボロボロになってしまったと言っていて、その言い方が、ぶっきらぼうに言うもんだから、かえっておかしくて、後で笑ってしまったわ」
「うちは親父が変なやつだったから、兄妹みんなそれぞれ変な性格になってしまったんですよ」と言い繕った。
全部を親父のせいにするつもりではないが、私を含めた兄妹が全員、発達障害かなんらかの精神疾患者になってしまった原因の一つであることは間違いがない。
そう考えるとその躾ができていない犬が家の中で入れ歯を齧ってしまうのも父男に一因があるというわけだ。
