太郎が横浜からわざわざやってきて、屋根を塗っているせいか、毎週木曜日は必ず良い天気になる。
太郎は塗装職人だった父男の手伝いを一番させられたので、蕎麦職人40年の前身は塗装職人だ。
その太郎がこの間、下準備をしたテーブル用に持ってきてくれたのが、ノンロット205nと言う塗料だ。最初の計画では水性ニスを塗るつもりだったが、太郎曰く、「ニスだと1、2年で禿げてくる。これなら5年は大丈夫」とのことだ。
太郎は屋根の塗装、三郎はテーブルの塗装と二人の息子が生前の父男のように仕事をしていると、さすがに暇を持て余している母江も「どこかに連れて行け」とは言えずに大人しくしていた。